【宜蘭】
愛するもの 誇れるもの
いっしょに宜蘭にいこう、と誘われて、私だけ台灣緑色公民行動連盟の呂氏とフィアンセの鄭さんにいわれ、行くことにした。宜蘭県は第四原発のある台北県に隣接した場所だ。かつて第四原発是非について住民投票が行われ、圧倒的多数が原発反対を表明した場所でもある。
上の写真は、鄭さんの姉妹たちとその子ども達。風景は日本と変わらないような気もするが、よく見ると昆虫は日本では見られない種類ばかりだ。
私は詳しくないのだが、これはムカシトンボの類ではないかと思う。このトンボがまるでヤブ蚊のように舞っていた。
このみごとな巣を張っている蜘蛛も、あでやかな色で日本では見ない種類だ。ちょうどトンボが網にかかったので、保存食をこしらえているところ。
昆虫マニアの人たちが台灣を宝島のようにいうのがよくわかる。
呂氏の車で南に下る。
彼の車のCDチェンジャーには伍佰(ウーパイ。台灣のPOPS歌手の第一人者。陳水扁総統も彼のファンで、彼のコンサートに陳氏が登場し、大喝采を浴びたこともあるという)のCDがすべて入っている。
台湾語の歌を聴きながら、美しい風景の中を走っていると、昨日まで台北の雑踏にいたのがうそのようだ。伍佰の唄もこの景色の中でこそ生きるような気がした。
ひたすら美しい海岸。海へいこうと、二人ですたすた歩き出した。彼らは結婚したら、台北を出て宜蘭か彼の故郷である南部へいき、環境保護運動を続けたいという。台北は好きじゃないの?と聞くと、あそこで生きていく気はない、といった。
福隆の航空写真。右の赤い円が第四原発建設現場。 |
澳底の航空写真。同じく赤い円が第四原発建設現場。 |
なんて、美しい景色だろう。私は何度も思った。
なんて素晴らしい人たちなんだろう。私は何度も思った。
台北の故旧博物館には中国中の財宝が集められているという。しかし、それを台灣の人たちが自慢するのを聞いたことがない。
そう、博物館に飾られている財宝よりも、何億元もする財宝よりも、この土地が、この海が、この自然こそがなによりの宝だということが、この人たちには分かっているんだ。
オランダ、スペインそして、日本の侵略、さらに国民党による統治。度重なる圧制のなかで、しかし失われることなく台灣の人々を守り続けてきたもの。
今度の日本の侵略は、それをも壊そうとしている。