【塩寮】
歴史が作られているところ
午後、原発の敷地に入った。台湾電力からこの原発のPRが行われる。私はいつもこれが気に入らないし、時間がなくなってしまうので、省略するようにお願いしたが、ダメだった。15分だけ、という約束で、彼らは初めてしまった。
塩寮の人たちは、私よりもっと気に入らないので、会場にも入らず、職員と言い争う場面もあった。
私も、会場には入らず、そのあたりを見て回った。
プレハブの建物は前回よりもさらに数を増している気がした。
ひとつのプレハブは、外見はプレハブだが、内部は立派なPR館になっていた。
日本のPR館そっくりの形式で、こうしたやり方も輸出されているのかと思うとうんざりする。
これは、その後すこし覗いた環境影響調査の会議。施信民教授などが入って、検討している。
これは後でわかったことだが、この時の環境調査の結果、建設現地のさらに山の上で工事されている貯水池の工事は即時工事停止、埠頭の工事については再調査の上、問題点が改善されていなければ停止、という結論が出た。
私たちはこれを塩寮から帰るバスの中で知り、たいへん喜んだが、その後再度塩寮に訪れた際には工事は停止しておらず継続されていると聞いた。環境保護局のこの決定には強制力がないため、台灣電力が従わないのだという。
塩寮では2基の原発が同時に建設されている。これは一号機。こちらのほうが少しすすみ具合が早い。すでに格納容器の鉄板がまわりをぐるりと囲んでいる。格納容器は従来の沸騰水型原発(BWR)では鋼鉄製のものが使われていたのだが、改良型沸騰水型原発(ABWR)では、鉄板とコンクリートで構築するように安上がりになっている。
ぐるりと囲んだ鉄板の外側にコンクリートが流し込まれ、格納容器の壁となる。
素人目でみても、こんなので大丈夫なのかな、という気がする。
こちらは二号機。まだ格納容器の建設前だ。
今回は塩寮では一泊する時間もなく、この後台北にもどってセミナーがある。ハードスケジュールである。
塩寮一円が見渡せる高台から望む。目の前に見えているのが福隆で、楊貴英さん自慢の海だ。ほんとうに美しいところだとつくづく思う。そしてその右に第四原発建設現場が見えることがよけいに悲しく思う。そしてそれが日本の原発であることを思って、息が詰まった。