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【228記念館と塩寮】
過去の歴史と作られいく歴史

  2000年8月16日、議員の方々より私のフライトのほうが1時間遅かった。ホテルについて一休みした私は、228記念館へ向かった。議員の方々の予定からいけば、ちょうどそこで会えるはずだった。

  228記念館はもう何度も私が訪れた場所だ。しかし、残念なことに、私が気に入っていたカフェテラスは閉店しており、書籍の処分セールをしていた。

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  議員の方々とは228記念館のVIPルームで会えた。ちょうど日本人の学生達と教師の方々が来ており、記念撮影をした。228記念館には日本語を話せる方が多いので、初対面の人が多いと、誰が日本人か分からない。台湾の方々は、日本のことを話すときは、にこにこしながら話す。たとえそれが、日本軍に知り合いが殺された話でも、にこにこしながら話す。うっかり聞いていると、こちらまでにこにこうなずいてしまうことがあって、どきっとする。

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  その日の夜、晩餐を台湾環境保護連盟の方々と共にした。

  台湾に建設中の第四原発について、5月20日に就任した陳水扁総統は、再検討委員会を組織しその判断をもとに決断することにした。再検討委員会は、推進側、反対側ほぼ互角の構成で、毎週1回金曜日の夜6時半から6〜7時間にわたり延々と行われる。そしてそれは3時間遅れでTV中継され、インターネットではリアルタイムで放映される。もちろん、インターネットでは過去の分も動画で見ることができる。
(再検討委員会のWebページ : http://www.hichannel.hinet.net/moean4/
  そのメンバーは以下のようになっている。このメンバーのうち、実に3人がこの晩餐に集まってくれていた。

政府機關(六人)

民意代表(二人)

學者專家(十人)

林信義 經濟部部長(兼召集人)
尹口銘 經濟部次長
陳博志 行政院經建會主任委員
夏コト 行政院原能會主任委員
林俊義 行政院環保署署長
蘇貞昌 台北縣政府縣長

ョ勁麟 民進黨立院黨團
謝口大 新黨立院黨團

王塗發 台北大學經濟系教授、環保聯盟會長
王榮コ 台灣大學公共衛生系教授
王鍾渝 工業總會常務理事、中鋼公司董事長
呉再益 台灣綜合研究院所長
李 敏 清華大學工程與系統科學系教授
施信民 台灣大學化學系教授
高成炎 台灣大學資訊系教授
張國龍 台灣大學物理系教授
梁口源 中央研究院經濟研究所研究員
廖本達 台電公司常務董事、前美國核管會副處長

  翌日、塩寮に向かった。

  第四原発現地まわりの地名がけっこうややこしいので整理しておこう。以下のようになる。
()内は日本語読み。日本語のできる台湾の人にはこの読みで通じる。すべての正確な読みを私はまだ覚え切れていない。

澳底(おうてい):第四原発からもっとも近い町。人口も多く漁会(漁協)もあり、反対運動の拠点でもある。
福隆(ふくりゅう):第四原発に二番目に近い町。大きな海水浴場がすぐ近くにあり、鉄道の駅もあるので、観光地としてはこちらのほうが中心のような感じ。台湾での発音は「ふーろん」。
塩寮(えんりょう):澳底と福隆の間の地域。人はほとんど住んでいないので、日本の国立公園に相当する「塩寮海浜公園」の「塩寮」として使用されることが多い。台湾での発音は「えんりゃお」。
貢寮(こうりょう):澳底から福龍の地域をまとめて、貢寮郷と呼ぶ。私たちは第四原発現地を総合して塩寮と呼び慣わしているが、台湾の人々は貢寮のほうを使うことが多いようだ。台湾での発音は「こんりゃお」。
龍門:(りゅうもん)塩寮地域の別名。塩寮という呼び名が海浜公園として名高いので、台湾電力が無難な名前として第四原発につけた地名。この名称で呼んでいるのは聞いたことがない。

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  これは、その澳底の媽祖(まそ)廟で行われた交流集会の様子。台湾では民間信仰としてそもそも媽祖廟が大小やたらとたくさんあるが、海の近くでは、漁の安全を願って、さらにたくさんある。この媽祖廟はその中でも大きなもの。

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  しかし、残念ながら、この日は環境保護局の環境影響調査の現地調査の日と重なってしまった。このため、塩寮の人々はそちらにも同行されていて、集会の参加者は少なかった。環境保護局の調査はそれまでも何度か行われていたが、陳水扁総統が当選してからは、この日が初めてであり、環境保護局の署長が民進党系の人(東海大学生物学科教授 林俊義)になったため、調査もやりなおし、結果もこれまでとは異なった結果になる可能性が高く、注目されていた。

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  日本びいきの楊貴英さんは、議員の方々に丁寧なあいさつをしてくださり、自分たちが何一つ妥協していないにも関わらず、建設が続けられている状況を訴えた。

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  昼食をごちそうになった。塩寮ではほんとうに、いつもとびきりの海産物をいただく。日本で食べたらいったいいくらになるだろうか、と思える食材が日本人にも違和感のないやさしい味付けで出てくる。どれも、この付近で採れたものだという。それはそのまま、塩寮の海の豊かさを表している。

 

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