環太平洋原子力会議
ってなんだ?



環太平洋反子力会議

なんや、それ?  環太平洋原子力会議は、1976年から2〜3年おきに開かれてきた、原子力の会議としては世界でも最大規模の国際会議です。今年は10回目で、日本で開かれるのは実に18年ぶりの2回目です。
 海外から、30ヶ国以上、400名を超える参加者が来ます。
 今回の会議の基調テーマは「原子力の将来−環太平洋地域の持続可能な開発へのチャレンジ」。後半のうたい文句だけ見るといいけど、原子力が「持続可能」とは?!笑わせてくれます。そんなもんに「チャレンジ」されたんでは、たまったもんではありません。
どんな国が
参加するん?
 カナダ、アメリカ、オーストラリアなど原発やウランを輸出する側の国から、フィリピン、インドネシア、タイなど原発を買わせられる側の国まで、要するに太平洋を囲む地域で原子力の商談に関連する国が参加しています。
誰が来はるん?  各国からは、大臣クラスを含むVIPも多数参加します。また、IAEAを大国の原発産業機関化してしまったことで悪名高いIAEA事務総長ハンスブリックスが初日の講演者となっています。韓国の科学技術大臣は22日に講演します。
 ちなみに、歓迎あいさつを神戸市長笹山幸俊氏が行います。
どこがするん?  日本原子力学会と日本原子力産業会議が主催になっています。これに動燃や電気事業連合会などが協賛しています。運営委員会・国際運営委員会の委員長は、それぞれ関電と東電の人間がやっています。いわば、原子力を推進する側が総出で行う会議というわけです。
なにをするの?  総会やパネルディスカッションにより会議を行うようです、内容は、原子力技術一般からパブリックアクセプタンス(原発を受け入れさせるための宣伝)や原子力教育などにも及びます。
 また、大飯原発やもんじゅへは、オプショナルツアーが組まれ、海外参加者が見学にいくようです。海外向けパンフレットには、もんじゅの事故には触れず、大飯原発ではパブリックアクセプタンスがうまくいっている、などというウソが書かれています。
へぇ、
知らんかったわ。
 神戸で開催されることは震災前に決まっていたのですが、さすがに、開催側もこの会議をそのまま神戸で行うことには抵抗があるらしく、マスコミ等へも情報がほとんど流れていません。このためにこれだけの会議でありながら、一般にはほとんど知られていないのです。
 また、会議自身が毎年開かれるわけではないことや、一般参加が容易ではないことも知られていない要因のようです。
こんどのは、
どんな感じ?
 前回は、94年にオーストラリアのシドニーで行われたのですが、このときも「次世代新型炉の売り込み合戦」などと報道されていました。
 最近は他の先進国はもちろん、日本でも新規の原発立地は困難になっているため、原子力産業はアジアへの輸出に生き残りをかけるしか道は残されていません。
 今回は、ますます、「原発のセールス大会」となることが予想されます。
これ、どういう
意味があるんやろ?
 毎年2機のペースで原発建設を進めていた日本でも、立地地点の方々の反対などにより建設を困難に追い込んでいます。他の先進国では、とうに原発の新規立地など考えられなくなっています。
 このため、原子力産業は他の地域への原発売り込みにかけるしかありません。特に東南アジアは、昨今のコンピュータ需要により急速に経済が発達し、電力需要も急増していることから、原発産業の格好の「顧客」ということになります。
 この会議が、必然的に「原発のセールス大会」になるのには、そういう背景があるのです。
日本って、手本に
されてたんや
 そもそも、アジア各国での原発推進は、日本を「お手本」にして進められてきました。韓国、台湾の原発PR館は日本と同じ設計者が建てたのかと思うほどそっくりですし、住民には、「ヒロシマ・ナガサキを経験した核に敏感な日本でも、原発は市民に受け入れられているから、大丈夫だ。」といって説明されているのです。
 そうやって、お手本にされていた国で開かれる今回の会議は、原発推進の手口を教える場にもなってしまいそうです。
環太平洋地域は
環地震地域や!
 環太平洋地域とは「環地震地域」のことです。特に日本から東南アジアにかけては地震の密集発生箇所で、安全な場所などありません。ただでさえ危険な地域に、欧米でさえ経済的に合わなくなった原発を地震地域に建てるため、コストダウンが行われ安全性が犠牲にされることになります。
民主主義も
守られへん
 もうすぐ原発の国際入札が行われてしまおうとしているインドネシアは、未だ民主化されておらず、原発立地地点の住民にも何も知らされていません。
 こうした状態で原発を輸出してしまうことは、そうした住民の人権を殺すことに他なりません。
もっと、神戸から
学ぶもんが
あるやろ
 阪神・淡路大震災は、いまなお、生き残った私達に大事なことを教え続けています。
 技術は人を守ってはくれないこと、形あるものは壊れるが命は受け継ぎいくこと、命を守ることを任せてしまってはいけないこと。
 神戸で学んでもらうことはたくさんあります。そして、それを生かすならば原発を建てることではなく、原発を止める工夫を始めねばなりません。神戸から原発輸出が始まることは、震災に苦しむ人々を省みないことです。震災に亡くなった人々を安らげないことです。
神戸から
再び侵略を始めるのか
 「あの15年戦争は止められなかったのだろうか」と思うことがよくあります。しょうがなかった、ではなく、どこかで声を発する機会があったのではないか、と。
 原発は、「最悪の公害輸出」です。
 この会議を許し、原発輸出を許すことは、再び「侵略」するにも等しい行為です。この第二の侵略を止める機会があるとすれば、まさに「今」ではないでしょうか。

 侵略を許すのか、ストップをかけるのか。

 私達は大きな岐路にいます。



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