Asia forum wide logo

第一回 日本
東京 閉会のあいさつ

これを出発点にして
反核・反原発アジアの道を
歩みはじめよう






司会(河田)
 最後に、海外からの代表の方から、それぞれひとことづつごあいさつをいただきたいと思います。どうぞウェッブさん。

アジア太平洋の民衆と共に!
 ウェッブ・ワーロウ(インドネシア) 私たちはやっと、このようにはっきりとした目的を持った集まりを持つことができました。いまはまだ始まりにすぎませんが、将来はもっと現実的な意味を持つことになるでしょう。そのために私たちはインドネシアから来ました。それではこの会議での、終わりのスピーチをしたいと思います。
 私たちは、搾取、人権抑圧と環境破壊に満ち、旧態依然として疲弊したひとつの世界に生きています。世界は私たちのものです。私たちはこの自然を守り続けなければいけませんが、その一方で、生存の必要性から自然を開発しなくてはなりません。しかしそれは特定の国、人種、宗教の特権ではありません。
 つい最近、オーストリアのウィーンで人権に関する国連会議が開かれました。そこで世界中から集まった人が、人々への暴力、これは人を殺したり苦しめたり環境を破壊したり、人々の生活を脅かすことですが、これらのことについて議論しました。しかしながら現実の開発にともなう問題は、より大きくより広くなっています。そして私たちはいま、カンボジア、韓国、南アフリカ、ラテンアメリカ、ボスニア、ソマリア、東チモール、あらゆるところで何が起こっているか知っています。そこでは人権が侵されているだけでなく、環境もまた侵されています。この状態をよくするための具体的な解決策こそ、私たちの望んでいるものです。
 私たちが生きている世界は、巨大な帝国主義国、巨大な資本主義国によって支配されているかのようです。しかし彼らの罪は問われないのです。私たちはお互いに、民衆と民衆、組織と組織で手を結び、ファシストの支配、帝国主義の戦争、環境破壊、そして資本家の搾取などの暴力に脅かされ、虐げられている人々のために連帯しなければなりません。
 電力を得るためであるとか、国家の安全保障や防衛のためであるとか、彼らが核テクノロジーの利用を推進する口実は様々ですが、どんな理由をつけたとしても、世界の支配構造が変わらない以上、結局は大資本家グループ、特権階級や国家の利益のためなのです。これによって利益を得る人は少数であり、世界の大多数の人々は強大な資本家や帝国主義国家の支配構造のなかに詰めこまれているのです。彼らが危険な核テクノロジーで脅しをかけるとき、多くの人々は依然として貧困と不正と非民主的な支配、搾取のなかにいます。この世界を支配する階級であるブルジョワは、人々の血と苦しみを踏台にしながら自らの富と人生を楽しんでいるのです。
 日本の核武装は、現実に日本政府の最大の目的なのでしょう。これは1945年以前の状況に似てきたという意味です。その当時、日本は経済的にだけでなく、政治的にも軍事力で他国を支配する超大国でありました。
 すべての原子力利用計画、人民の利益に反しあらゆるところで国家の名によって行なわれるウラン採掘や海上輸送に対して、闘おうではありませんか。アジア太平洋地域に平和と自由を確立するため、この軍拡の傾向に対して闘っていかなければなりません。  私たちは世界に呼びかけます。インドネシアで闘う私たち民衆の声を聞いてほしい。正義と真の民主主義を求める同じ人間として、私たちとともにあり、私たちを支援してほしいと。
 私たちはまた、帝国主義と闘い、国際的連帯を追求している世界中の人々に呼びかけます。私たちが議論する課題が何であろうと、反帝国主義運動のなかで私たちは手を結ぶことができるでしょう。搾取に苦しんでいる、その一点だけで私たちの連帯は可能ですと。
 次の世代はどうなるのでしょうか。お金がない、学校がない、食べ物がない、仕事もないといった理由で苦しんだり死んだりすることや、あるいは強欲で凶暴な資本家や帝国主義者によって破壊された環境で病気になったり、ファシストの銃弾に殺されたりといったことを放置していていいのでしょうか。
 私たちは拳をふりあげようではありませんか。すべての人々、世界の苦しんでいる多くの人々のための世界をつくるという責務を果たすために。反民主主義、不正義、独裁者の支配と闘い、国際連帯のもとにひとつになろうではありませんか。彼らこそが、世界を核テクノロジーで支配しようとしているのだから。
 真の民主主義、アジアの民衆とよりよい環境のための民主主義を!
 アジア太平洋の民衆よ永遠なれ!
 国際連帯よ永遠なれ!

ウィトゥーン(タイ)
 どうもありがとうございました。手をとりあって、反核をともに闘い抜きましょう。それだけです。(拍手)

継続していくことが大きな力となる
ジャヤバラン(マレーシア)
 昨日の朝、第1回目の非核アジア太平洋会議(CONFAP)の話から始めました。ですから私としては、今回の会議をやはり第2回CONFAPと呼びたいです。ま、何と呼ぼうと構わないのですが、ノーニュークスを掲げたアジア民衆フォーラムの2回目であったということです。
 その終わりに際しての私の印象ですが、前回のCONFAPがその後にひき継いでいくことができなかったのに対し、今回の会議はいまから継続していくことがしっかりと見えているということです。
 この会議のなかで多くの人々の前に明らかになったことを3項目にまとめると、1つは犠牲者の惨状について、次に原子力技術移転の差し迫った危険性、そして最後に軍事力の増強、特にこの地域の核武装化についてです。
 私からのメッセージは、とにかくこのネットワークのための作業を継続していこうということです。また、このように高価な場所を使い、私たちみんなをここに招いてくれたことについて、日本実行委員会の努力に感謝したいと思います。どうもありがとうございました。

パドマナバン(インド)
 私たちはウランとプルトニウム、そして有効なエネルギーについて深く議論してきました。しかし私の意見は、この問題を改善するにはもっとほかの、反核以外の切口もあるということです。
 残りの問題はもっと重要かも知れません。たとえば支配者がわれわれを煽って、過剰な消費をさせているのではないかというようなことです。
 もっといわなければならないことがたくさんありますから、会議を開くことはとても重要です。どれだけやってもたりないくらいです。これからも一緒にやっていきましょう。どうもありがとう。

1日も早く中国、シベリアの民衆と共闘を
金源植(韓国)
 大部分の方が日本人や、日本語を話される方なので、ぼくは日本語で話をしました。しかし締めくくりの言葉は私の母国語でやります。
 2日間の会議をとおして本当に多くのことを学びました。いままで私たちは、非常に過酷な条件のもとで闘ってきました。そのなかで解決すべき様々な課題がありました。それらをどのように解き明かしていけばいいのかについて、今回の会議を通じて明らかになったことがいくつかあります。
 そのひとつは、まさにアジアは核について文字通りの運命共同体であるということです。だからお互いに協力をしながら運動を進めていく必要がある。しかしその中身について、私はこう考えます。私たちが韓国で闘いながら、それにいつも外国のみなさんの協力を得るということは実際不可能な話です。また逆に私たちが、たとえばインドに出かけていって恒常的に闘うことも不可能なことです。だからこそ、韓国における反核運動の柱、反核を敢然と闘う主体は私たちでしかありえないという認識を、改めて強くしました。しかしアジアの連帯、みなさんの支援が必要であるということを、もう一方で切実に感じます。
 このアジアフォーラムの提案者のひとりとして、2日間の会議を終えるにあたり、よくやったなという思いと同時に、肩に非常に重い荷を課せられているという思いも強くなりました。
 最後の言葉として、中国の民の声を1日も早くこういう席でともにしたいということを伝えます。同じくシベリアの民の声もこのような席でともにしたい。アジアの反核を唱えながらも、中国、シベリアを除外していていったい何のアジアでしょうか。
 私たちは各自がやるべき各国の反核・反原発運動を一生懸命やりましょう。そして、中国やシベリア人たちとも、肩を並べてともに闘えるそのような日を、1日でも早くつくりましょう。最後の勝利を獲得しましょう。ありがとうごさいました。(拍手)

施信民(台湾)

 みなさん、私は日本の同志であり、この会議を成功させてくれた主催国の人たちにありがとうといわなければなりません。次に、私たちの原発、核廃棄物処理場建設や放射能住宅に対する反対運動を支持してくれるすべての参加者に感謝したいと思います。
 私たちは、アジアの民衆に共通の未来があることを知っています。
 だからこそ、原子力産業の拡大とアジアの核兵器拡散を防ぐ方法を見つけるために、そして放射能汚染や核の存在による被害からアジアの民衆を守るために、近い将来私たちがともに活動することを望みます。
 台湾のグループを代表して、みなさんが次回の会議のために台湾へ来ることを歓迎します。しかし韓国の方が次回の会議開催には優先権がありますから、私たちは彼らの決定を尊重します。そして、もし韓国が次回開催国になれなかったときは、台湾が1994年会議の受け入れ国になります。いづれにしてもみなさんが台湾へ来ることは大歓迎です。みなさん、どうもありがとう。

真の仲間を得た2日間
小木曾茂子(日本)
 みなさんどうもありがとうございました。アジアの方々を昨日お迎えして「ゲスト」という言葉で呼んできましたけれども、一夜をともに過ごしまして、ゲストとは誰だ? フレンドだ、と心から思えるようになりました。10日間過ごせば、きっと家族のような間柄になると思います。
 全国をこれから回られる方たちが、体に気をつけて各地で有意義な交流ができることを心から祈っています。そしてみなさん、ぜひ各地の方々に、こんなすばらしい人々との出会いができることをお知らせください。お友だちに各地の交流会に参加するようにおすすめください。お願いします。

宮嶋信夫(日本)
 たいへん長い会議であったわけですが、おつき合いいただきまして本当にありがとうございました。海外のゲストの方々とはわずかしかお話する機会がありませんでしたが、なんかずっと長いあいだ一緒に闘ってきた仲間だという感じが、実は非常に強いのです。ですからこれを機会にしまして、これからともに行動し、ごく身近な仲間として今後の共同の未来をめざしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

現場の闘いから運動の本当の強さが見える
コラソン(フィリピン)
 今回は私にとって有意義な経験でした。特に、この会議の議長ができる好運にめぐまれたこと。実行委員会に対しては、このような機会を与えてくれたことに感謝したいと思います。けれども、もし何かとり落としたことや、議論の過程でだれかの発言を聞きのがしたことがあったら、おわびしたいと思います。
 私はまた、これから数日間の現地めぐりのツアーを楽しみにしています。私自身にとっても、私たちみんなにとっても、同様に有意義な経験になることを確信しています。なぜならこのツアーでこそ、現実の闘いがどうなっているのかを知ることができ、私たちの運動の本当の強さが見える、草の根の地域社会を訪ねることだからです。そこは、自分たちの組織のなかの日常に対して、いつも刺激を受けたり、強さを求めて帰っていくところだからです。本当にどうもありがとうございました。みなさんと再び、日本でなくても、どこかでまた出会えることを祈ってます。

朴賢緒(韓国)
 みなさん本当にありがとうございました。私もこの2日間非常に多くのことを学びました。私たちは本当に最後まで反核、平和そして祖国の統一のために頑張りたいと思います。ありがとうございました。

司会(河田)
 最後に、日本実行委員会代表の前野良さんにお別れのあいさつをお願いしたいと思います。(拍手)

アジアフォーラムのめざすもの、そして日本
前野良(日本)
 こういうのはいちばん苦手で、議長さんにあてられましてちょっと慌てています。さっき、金さんが台湾の方の言葉をとられて「アジアは核の運命共同体」といわれました。現在まさにそういう状況にあるわけです。しかし私たちは核の運命共同体ではなく、人権が守られ、大国による抑圧が廃止され、女性の権利が認められ、そして原発がすべて廃棄され、しかも大国としての日本の社会が変革されることを規範的な価値として、ひとつの運命共同体をつくることができないか。核の運命共同体ではなく、人権、環境、女性、そして社会の公正な秩序、こういうことを土台にした新しいアジア。それがアジアフォーラムがめざしているものだと思います。
 私はそう考えておりますが、ただそこに昨日から韓国その他の方々から厳しい日本批判がありました。過去への批判ではなく現在に対する批判だと私は受けとめておりますし、河田さんも日本人の意識と海外の、特に韓国の方の意識とは非常にズレがあるという問題を、プルトニウム問題を論議するなかで述べられました。
 過去の戦争においてアジアに与えた被害は、過去のことではなく現在も続いているという理解を、私たちが本当に持つことができるかと問われている。アジアに対する日本の戦争が残虐な侵略戦争だったという認識、あるいは100年も続いた日本の植民地的な支配、しかもそれが現在も続いているという意識が、たとえばいまの若い世代に継承されてるかというと、これはきちんとされていません。
 日本でいちばん強力なものは何かといえば、国家だと思います。ヨーロッパのステートと違って、市民社会全体を呑みこむような、そういう性格を日本の国家は持っている。だから経済界もまた、国家の戦略にしたがって行動をしてるんであって、欧米的な経済合理性で動いているのではないというところに、私は問題があると思うんです。
 国家と経済界が結合している日本社会独特の性格をなくしていくことが、われわれ日本人としては非常に大事なことであり、それはどうしたらできるかということを、この反原発運動のなかで根本的に考えてみなければならないのではないか。私はこの2日間の討議を聞いて、それをしみじみと感じました。日本人的な意識をどうやってアジア的なものに変えていくことができるか、つまりどうやれば共通の意識を持てるかが、非常に大事なことではないかと感じました。そういうことをこのアジアフォーラムを軸にして、多様な運動と結合して一生懸命に頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)

司会(河田)
 どうもみなさん長い間ありがとうございました。これで2日間にわたりました東京の会議を終ります。しかしこの後、海外の方は全国各地に交流の旅を続けます。どうかみなさん、各地で暖かく迎えてあげていただきたいと思います。2日間、不慣れな司会でご迷惑をかけたこともあったかと思いますが、どうもありがとうございました。(拍手)


  
<戻る> <先頭へ>