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第一回 日本
東京 ノーニュークス・アジア会議

日本実行委員会からの問題提起



アジア民衆の
反核・反原発の
ネットワークづくりを
始めよう

maeno

宮嶋 信夫
ノーニュークス・アジアフォーラム日本実行委員会


司会(河田)
  どうもありがとうございました。いまのお話のなかで、今回のノーニュークス・アジアフォーラムの基本的な性格づけも、かなり明らかになったように思います。次に日本実行委員会の宮嶋信夫さんに、このアジアフォーラムに対する問題提起を行なっていただきます。

宮嶋信夫(日本)
 ノーニュークス・アジアフォーラム日本実行委員会から、問題提起を行ないたいと思います。
 はじめに今日と明日の会議が実り豊かな会議であることを願い、さらに意義あるものとするために、アジアの現状と、この会議がどれほど重要な役割を果たすことができるかについて述べたいと考えます。
 この会議で、アジア8カ国のなかで反核・反原発の民衆運動の先頭で闘ってきた人々、日本各地で反原発を闘っている人々が一堂に会することができました。アジアの核状況を変えようとするこころざしを持って闘う人々が互いに知り合い、意見を交わすだけでも画期的な意義があります。たとえば核廃棄物処分場建設と闘う韓国の安眠島から田在鎮さん、台湾の蘭嶼(ランユー)島のリーダー郭建平(クオ・ジャンピン)さんが参加されています。安眠島と蘭嶼島、遥かに離れて闘っておりながら、ただいまここに見えています。遠く離れても共通の課題で闘う人々がこの会議で同席できましたことを、準備にあたったものとして心から喜びたいと考えます。
 他方、私たちをとり巻く状況は国境を越えて協力することを求めています。その第1がプルトニウム問題であります。今年1月のプルトニウム輸送は、アジアの人々を日本のプルトニウム政策そのものに目を向けさせました。いまや日本のプルトニウム大国化は、アジア民衆に重大な脅威として受けとめられています。この会議はそれ以後、アジアの民衆が初めてプルトニウム大国化を論ずる場であり、アジア規模での反撃の基盤づくりに貢献するものと考えます。そのような認識に立って、この会議を歴史的課題に答える充実したものにすることが、われわれ実行委員会と参加者の共通の責務であると考えます。
 以上のことを強く訴え、その前提に立って日本実行委員会は、第1にこの会議をとり巻く状況、第2には私たちに求められている課題、第3には今後の運動の方向について提起したいと考えます。すでに述べたように、アジアの核、原発をめぐる状況は重大な転換期にあります。われわれが直面している事態はアジアの民衆の将来を左右するものであり、なりゆきのいかんでは深刻な状況をもたらすおそれがあります。その要因は日本が推進している政策であり、それに対してアジアの未来に責任を負うわれわれがどう対処するかを問われているのです。
 まず第1は日本の、プルトニウムを利用し増殖する高速増殖炉建設と大量備蓄計画です。今回のプルトニウムの大量輸送は世界の人々に、猛毒であり核兵器の材料であるプルトニウムを大量に保有するという日本のプルトニウム政策の根源に目を向けさせ、日本がプルトニウム大国となることに深い憂慮を抱かせています。日本のプルトニウム大国化は、経済力ナンバーワンから、軍事とエネルギーのナンバーワンをめざす、アジアで最も危険な国への転換であります。それは世界の安全と平和に対する重大な挑戦であり、世界を新たな核開発競争へと駆りたてることでありましょう。
 第2はアジア諸国に広がる原発の建設計画です。現在の予測通りに原発建設が進行すればアジアは世界有数の原発地帯となり、将来の世代にとり返しのつかない核の被害をもたらすことになります。アジアを原発地帯へと変えようとする動きに日本は大きくかかわっており、プルトニウム大国化の意図とともに日本はアジアと世界の核状況を左右する地点に立っています。
 世界がこぞって撤退するなかで、日本だけがプルトニウムの生産、備蓄のコースを歩み、世界が脱原発の方向に向かおうとするなかで、日本を中心にしたアジア諸国がそれに逆行し、原発推進を強行することは、次の世代の世界を核被害の危険にさらす役割を日本とアジア諸国が進んで担おうとすることになります。私たちアジアの反核・反原発をめざす民衆は、この流れを食いとめるために立ちあがり、その第一歩としてこの国際会議を成功させる必要があると考えます。
 日本委員会の問題提起については、事前にこの問題提起へのコメントを参加各国に依頼していて、すでに台湾、インド、韓国などから文章が寄せられています。これらを前向きに受けとめて、この問題提起をより豊かな民衆の共通のテーブルをつくるため、その一部を紹介したいと考えます。



日本は世界の原発の牽引国

 昨年の原子力白書では「日本は原子力平和利用の世界的な牽引国としての役割を果たす」と主張しました。また昨年の科学技術庁の新政策についての政策文書では、「原子力の研究開発の分野で世界のセンター・オブ・エクセレンスとなる」と述べています。そして世界の大勢がどうであろうとも、日本は独自の戦略にもとづき世界の先頭に立って原発推進を押し進めようというのであります。
 原子力産業会議が発行している原子力産業新聞は、今年の年頭93年1月5日の「先進的役割果たすとき」と題する社説で「日本はいまや世界の原子力開発のトップを走っている。世界秩序をリードする国が時代によりかわるがわる出現したように、時代の技術を発展させる国が必要である。原子力開発についてはそれが日本である」と明言しています。
 こうしたことはすでに具体的な世界戦略として一歩一歩実現してきています。アジアの非核保有国に対しては、研究炉の新設から電力エネルギー供給政策の策定作業、火力・水力発電所のためのフィジビリティー・スタディ(事前調査)などについて支援してきています。これらはかつての米国が、原発輸出の世界戦略を実現する第一歩として研究炉の設置の段階から援助を行なったことを思い起こさせますし、日本だけが巨費を投じて原発技術水準の向上に努めている動機とも関連しているものと考えます。



アジア諸国に対する
日本の原発推進の動き

 ではアジア諸国に対する日本の原発推進の動きを細かく見てまいります。日本は毎年アジア7カ国の原発・エネルギー関係閣僚を招き、アジア地域原子力協力国際会議を開催しています。中国、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、オーストラリアの7カ国ですが、今年93年も3月2日から3日間、東京で第4回会議を開催しています。この会議は「アジア地域の産業振興とエネルギー問題解決のためには、原子力利用が重要であることを確認した」といっているとおり、原発推進を目的にしています。
 すでに原発を保有する韓国、台湾とのあいだでは、ほぼ毎年、2国間で協力会議を開催していますし、原発を保有していないインドネシア、タイ、マレーシアなど東南アジア諸国に対しても毎年、原子力産業会議が20人を超える原発関係者からなる官民の大規模ミッションを派遣して、原子力利用の促進を奨励しています。
 彼らが国境を越えて、つながりあっている分野はいくつかあります。その第1は、PA(パブリック・アクセプタンス、住民対策)についての国際協力です。アジア原子力協力会議の合意にもとづきまして1991年12月に開催された科学フォーラムというのがありますが、この参加国は原発推進のためには世論対策、立地地域の住民対策が極めて重要であるとの認識に立ち、それぞれの経験と課題を提起しています。たとえば韓国は核廃棄物処分場建設計画が住民の反対で挫折し、「地域住民の合意を得ることが原発を推進するうえで決定的である、日本の経験を参考として対策を考えたい」と主張しました。そのほかの参加国もマスコミなどの世論対策、立地地域住民対策の重要性を指摘して、原子力問題が国境を越えて影響し合っており、PAが不可欠との共通認識に立って、各国間でPA情報ネットワークを確立する、PA活動の経験・成果を交流する、相互派遣プログラムなどを決めています。こうした考え方にそってすでに、韓国、台湾からは多数の原発立地点の住民やマスコミ関係者を日本に受け入れており、日本の原発を見学させたり、立地地域の住民と交流をしては、地域社会にとっていかに原発立地がメリットあるかを宣伝して、両国の原発建設の推進に協力しているわけです。
 第2は、技術指導や機材供給の面での国際協力です。現在すでにこの面でも、アジア諸国に対して日本の役割は極めて大きくなっています。中国の第1号原発=秦山原発の中枢部分ともいえます格納容器は三菱重工の製品ですし、その原発の出力上昇運転に際して日本の電気事業連合会は、1992年だけでも技術者を2度にわたって派遣し技術指導を行なっています。台湾の6基の原発のうち2基の圧力容器は、日本製鋼所製です。他方、旧ソ連圏、中国に対しては今後10年間に1000人を研修する計画があり、1992年秋以降、エネルギー省の原子力局長クラスの人々を招聘して日本の原発を視察させ、安全管理を中心に研修を行なっています。
 原子力協力国際会議にせよ、対ソ連圏研修活動にせよ、いっけん公正な国際協力といった性格を思わせますが、実際はいずれも露骨な「反原発運動と住民」対策のための協力であり、旧ソ連圏への原子力商戦といった性格がこめられています。石油生産の低下をカバーするためにロシアの極東部では4基の原発の建設が計画され、92年10月には日本の原子力産業会議の代表団がそのための会議に参加しています。
 第3は資金面での協力です。世界最大の発電プラント市場といわれる西太平洋地域に共通する障害は、これら諸国の外貨不足であり、この問題の打開策として日本の資金援助は重要な役割を果たしています。日本が計画しているインドネシア向け原発の輸出には、それを資本面で担保するものとして、長期延べ払いのための日本の資金援助が決定的な役割を果たすことになっています。



世界最高の伸びをみせる
アジアの原発

 日本政府と原発推進側がこれほどアジア諸国に対して力を注ぐのは、彼らにとってそれだけの魅力があるからです。
 最近韓国から中国、台湾などで原発建設が相次いでいます。フィリピンではすでに原発1基の建設が完了しています。タイやインドネシアでも原発建設が計画されています。1992年のESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の『アジアでの原子力発電の見通し』と題する調査報告によると、ESCAP加盟11カ国の原発は1990年時点で中国、インド、パキスタン、韓国にあり設備容量は893.8万キロワットですが、2020年には8400万キロワットから1億1700万キロワットに達すると予測しています。また2010年には、フィリピン、イラン、バングラデシュ、インドネシア、スリランカ、タイの7カ国も原発保有国になると予測しています。こうした予測が具体化していくと、アジア諸国は世界有数の原発地帯になることを意味するわけで、このことを日本経済新聞は、西太平洋に面したアジア諸国で急ピッチに進む原発建設と原発への意欲を「西太平洋原発帯」と表現しています。これは決して誇張ではありません。
 欧米では原発建設はほとんど進められず、安全性への不安や経済性の悪さから原発からの撤退傾向さえうかがえる状況にあります。ところが西太平洋の発展途上国では、チェルノブイリ大事故さえなかったかのように原発建設が進もうとしています。これらの原発推進の動きの背景には、この地域における急激な工業化による電力需要の増大があります。この急激な工業化は、多くの場合日本企業を含む外国資本によって主導されています。当然のことながら、外国資本にとっては利潤を保証するものでありますが、その工業化は必ずしも民衆の生活向上につながってはおりません。そればかりか、民衆の生活を破壊している事例にも事欠かないことにわれわれは留意する必要があります。
 原発建設が急増する第2の要因は、韓国、インドネシアなどでわかるように、その背後に核兵器に転用可能な核物質を保有することによる国家的威信増大への欲望がうかがわれます。タイなどは欧米諸国の脱原発的方向とは正反対の政治選択をとろうとしていますが、これら諸国の政治選択に際して、日本の政策と、日本が主導するアジア地域原子力協力国際会議の合意でもあります「エネルギー問題解決にとって原子力利用が重要である」という考え方が影響力を持っていることは当然です。
 こうした電力需給状況を基盤に、世界の原子力資本がアジア発電プラント市場を原発市場として戦略的に位置づけてきたことも見落とせません。韓国、台湾の原発建設は、建設時の予定価格に比べて実際の建設コストが大幅に上昇するのが通例です。米国の原発メーカーにとって極めて魅力ある市場であり、原発メーカーの利害がこうした国々の政府を動かし、原発建設を加速する原因ともなっています。
 いまアメリカやヨーロッパでは原発が行き詰まり、撤退していく傾向にあります。日本でも新規の原発立地はしだいに困難になっています。そうであるがゆえに、世界の原子力産業は電力需要の増大するこの地域への原発プラント輸出を進めようとしているのです。


電力・エネルギー問題における
アジアの北と南

 東南アジア諸国と日本の電力消費量の格差は10倍以上にも達します。あきらかに日本の電力消費は過剰です。それほどまでに膨大な電力を浪費する日本社会は、アジア民衆を犠牲にしている社会です。南の民衆のものである森林・水産・鉱物資源を安く買いたたき、これらの資源を収奪したそのうえに浪費的社会を成立させてきました。日本の大量に浪費されるエネルギーのほとんどは、南側諸国で産出する貴重な石油や天然ガスなのです。
 そしてまた、この日本の大量浪費社会は原発に依存する社会でもあります。そうした日本が浪費社会を放置してさらに原発をつくり、プルトニウムを利用し、備蓄する政策を続けることは許されることではありません。ましてアジア諸国の発電能力不足につけこんで、これらの諸国に対して原発を輸出することは許されることではありません。
 日本において原発をとめていく闘いは、この電力の大量浪費をやめていくこと抜きには勝利しえないと考えます。アジアの民衆を犠牲にし、原発に依存しなければならない日本の大量浪費社会を変革することが、日本民衆の課題です。



日本のプルトニウム大国化

 日本は世界の原発保有国がすべて撤退した高速増殖炉の建設計画を推進しようとしています。このために新たに使用済み核燃料の再処理工場を、青森県に建設しています。海外で再処理され返還されるプルトニウムと合わせれば、日本は将来膨大な量のプルトニウムを保有することになります。猛毒の物質であるうえに、ただちに核兵器に転用できるプルトニウムを、核兵器数千発分も保有しようというのです。日本のプルトニウム大国化は、日本だけではなくアジア全域を放射能汚染の危険にさらすだけではありません。世界に権益を持つ日本が、それらを核兵器に転用しないという保証はないのです。今回この会議に出席された参加者のレポートを一読すればよくわかることですが、日本の核大国化への大きな懸念が起こっています。
 たとえば、いま発言されましたマレーシアのジャヤバラン医師は、日本のプルトニウム強行搬入を日本の軍事大国化、核兵器製造と受けとめていらっしゃいますし、韓国のメンバーは、日本が世界の先頭にたって核拡散を推進していると非難しています。今日の議長であります韓国の朴賢緒(パク・ヒョンソ)教授は、自衛隊を持つ日本が、より一層軍国主義国となっていくと明確に分析しています。
 ではなぜ日本は世界の反対を押し切ってまでプルトニウム大国化を強行し、アジアへの原発輸出にこれほどまでに力を入れているのでしょうか。それはアジアへの日本の経済的利害と覇権的欲求です。48年前まで、日本はこの会議の出席国のうちインドを除いたすべてを植民地化し、または占領していました。これらの国の民衆に限りなく非人道的な迫害を加えていました。そのような体験を持つ国の方々が、日本が大量のプルトニウムを保有する軍事的・政治的大国への道を進むことを憂慮されるのは、当然のことです。



アジア民衆の反核・反原発の
ネットワークづくりに着手しよう

 プルトニウム大国となり潜在的核大国への道を選ぼうとする日本、原子力利用で世界の牽引国になろうとする日本政府に対して転換を迫ることは、日本だけでなく、アジア民衆にとって共通の課題です。アジアに生きる民衆は、西太平洋原発帯をつくらせてはなりません。日本が先頭にたってこのような現実をつくりだしていることは、日本の反核・反原発運動の力が弱く、政府の政策に影響を与えることができなかった結果です。運動にかかわるものとして反省を迫られるところであります。
 われわれはアジア太平洋地域の非核地帯化、また西太平洋、南アジアに反核・反原発地帯を創るために、この会議を出発点として国際的な運動を創りだしていくことが重要であると考えます。
 一方、アジアの民衆からはこうした日本の動きに対して、憂慮と厳しい非難が寄せられています。韓国の20の反核・環境団体が、昨年92年5月に出した「日本のプルトニウム備蓄に反対する署名運動の呼びかけ」。これは田在鎮さんとさっき発言された金源植さんがわれわれに届けたものですが、日本の過去の歴史と重ねあわせて、日本が再びアジア民衆への脅威となる危険を訴えていました。また東南アジア諸国の民衆からも、プルトニウム大国化する日本の意図について、深い憂慮が寄せられています。
 アジアの発展途上国に対して原発を輸出することは、人道的にみて放射能による加害行為です。92年11月に来日されたインドネシアの作家ルビスさんは、「先進国でも原発事故は起きており、労働者被曝、放射性廃棄物処理の問題は解決していない。産業はもうけるつもりだろうが、原発を途上国に売るのは犯罪に等しい」と指摘しています。
 過去の植民地支配、侵略戦争によってアジア民衆に対して加害者であった歴史を背負う日本人は、自国の原発に対してだけではなく、アジア地域への日本の原発推進の動きにも目を向けなければならないと考えます。アジア諸国を世界有数の原発地帯にしようとする行動の先頭にいるのは日本の推進勢力であり、日本の民衆は彼らと直接かかわり、責務を負う位置にいるからです。
 このような方向をめざす日本の支配層は、国内のマスコミなど民衆支配の諸機能を動員することと合わせて、日本民衆のなかに民族的差別意識をつくりあげ、それを利用してきています。各国の民衆を切り離し、対立させることによって反対運動の前進をふせいできています。特に原発に関しては、原発に反対する力強い運動がアジアの各地で民衆の手で築かれていますが、マスメディアはほとんどそれを報道せず、互いに隔離された状況に置かれています。
 また核兵器と原発とは、放射能による人類への悪影響という意味でいったいであり、反原発運動と反核兵器運動とは本質的にはひとつです。大戦後の核被害者は専門の研究家によると、すでに2500万人にもおよびます。チェルノブイリ事故による被害者は、現在もなお発生し続けています。日本でもこれまで隠されていた原発労働者の被曝による死亡が明らかになっていますし、アジア諸国での被害者は少なくありません。原発を持ち、中国、パキスタンとの紛争を抱えることで早くから核保有国となっているインドでも、健康被害、土壌の荒廃をもたらしています。人類は核に依存する文明を拒否しなければならないところに到達しています。
 先ほどジャヤバランさんが報告されたように、1988年、香港で、「核のないアジアをつくろう」という同じ目的でアジア諸国の民衆によって会議が開催されていますが、その会議でマレーシアの代表、これは実はジャヤバランさんでありますが、それらの運動の多くは孤立状態にあると指摘されています。共通の目標をめざす運動は、目標達成にはそれぞれの自立性を尊重しながら連携することが必要であると考えます。
 いままでもうし述べてきたように、日本政府の動きをくいとめるためには、アジアの民衆がともに力を合わせることが欠かせません。それなしには実現できないと考えます。アジアの民衆にプルトニウム大国化と原発輸出により脅威を与えようとする日本の支配層に対して、アジア民衆と日本の民衆とは連帯しなければなりません。同時にこの会議が、アジア諸国の「核保有国化」を、日本民衆を含む全アジア民衆の力でくいとめていくためのスタートラインになること、そして記念すべき日となることをともに力を合わせて達成したいと考えます。私たちは、時代はそれを求めていると考えます。日本のプルトニウム大国化は世界ですでに孤立しており、原発輸出も世界で孤立させることができると考えます。
 そのような立場からアジアの民衆とともに手を携え、核も原発もないアジアを築きあげるためにノーニュークス・アジアフォーラムを開催することにしました。限られた時間でありますが、十分に論議し、行動を始めたいと考えます。アジア各国での豊かな経験から教訓を導きだし、それを学びとることは、勝利をめざすうえで欠くことのできない作業です。それらの運動を担ってきた人々が、相互に知り合うこと自体が大きな励ましとなることは、お互いに体験してきたことです。アジアの各地で闘ってきた人々が集うアジアフォーラムは、重要な貢献を果たすと考えます。
 そして国境を越えた相互の情報を交換するネットワークをつくりあげたいと考えます。それに成功すれば、運動の前進に大きく寄与することになります。アジア各地の厳しい条件のもとで、苦痛を乗り越え長期の運動を担う人々との出会いは、勇気と希望を与えるものです。アジアフォーラムで汲みとった教訓を糧として、それぞれの国のそれぞれの部署で運動を強め、来年以降きたるべき日に、ソウルか、台北か、あるいはそのほかのアジア地域で再び集うことを期待したいと考えます。以上をもちまして日本からの問題提起を終わります。


  
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