連邦政府先住民問題大臣 イアン・ヴァイナー: 「すみませんが、撮影も録音も中止してください」 すでに6年、話し合いはもう6年間も続いています。問題はもはや、鉱山開発をするかしないかではありません。それをどのように実行するかなのです。 これはフェアな協定だと思うのですけれどね。アボリジニーにとっても有益だし、すべてのオーストラリア人のためにもなる。 今こそ決断を下すべき時が来たのです。 |
ヴァイナー大臣: 連邦政府は、みなさんが心の中では鉱山を望んでいないことを理解しています。それは分かっています。 しかし先ほども言ったように、政府も、フォックス判事も、アボリジニーの声にばかり耳を傾けるわけにはいかなかった。オーストラリアの全国民の声を聞かねばならなかったのです。 今日、この決断を下してしまいましょう。そして心労をこれで終わりにしようじゃありませんか。 このレンジャー開発協定を、ひとつの礎としましょう。皆さんと、そして子供さん達の未来と幸せを展望するための力強い礎に! |
最終的に協定に署名し、トビーはその褒美に銀のペン皿のついた万年筆を与えられました。しかし彼が望んだのは、ペンなどではなく、自分たちの土地を取り戻すことでした。 レンジャー鉱山の開発協定に同意するや否や、そう、レンジャー協定にサインしたそのインクもまだ乾かないうちに、トビーはまたもやウラン開発への同意手続きを、もう一度全部繰り返すよう強いられることになります。 今度は別の鉱山会社、パンコンチネンタルがジャビルカ地区での鉱山開発を求めてきたのです。 |
イボンヌ: 忘れてしまいたいことが多すぎたのでしょう。父は、酒を飲んで、飲んで、飲んで ... 。 酔って開発協議の会合に行ったこともあったわ。会議から帰るとすぐにパブへ行ったり。私たちは「もう飲まないで」といつも言っていたけれど、父は黙って会議に通い詰めるばかりでした。 |
イボンヌ: とにかくあの人たちは「会議だ、会議だ」といって父を追い立て続けたんです。ずうーっとですよ! 父が具合が悪くて寝ているというのにおかまいなし、あの人たちは毎日うちに来て、どんどんドアをノックして、父を起こすの。 「明日は会議だからね、来てくれよ。」、「ほら今日は会議だよ、来てくれるね?」 父はね、「いや、明日は会議に出ないよ、体の調子が悪いんだ」、そう答えることもあったけど、その日になると父はやはり出かけていったわ。毎日毎日、あの連中は父を会合に連れ出しては連れて帰ってきたのよ。 |
ジャッキー: ジャビルカ開発に関する交渉は18ヶ月間も続きましたが、同意の問題が取り上げられたのは最後の会合ただ一回だけでした。 それまでに実質的な交渉は北部土地評議会とパンコンチネンタル社のあいだで進められ、あらゆる項目が既に決定されていたのです。それで、最後の日になって、やおら「合意」するかどうかが議題にされたんです。 その時、イボンヌのお父さんは、疲れ果てていました。体調を崩していて、会議の間、座っていることができずに横たわっていたほどです。 その時の状況をお話ししましょう。その日の会合の終わりに、いよいよ同意の是非が議論される段になりました。トビーは立ち上がり、出席者全員に向かってこう言ったんです。 「もう疲れた。もうこれ以上闘えない」と。 それが「同意」の中身だったのです。 それこそが、ジャビルカ開発計画を進めるために手続き的にも法的にも必要とされた「同意」の実態だったのです。 |