白いテクノロジの人々

 

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  エネルギーに飢えたこの世界で、ウランには高い経済価値があります。オーストラリアの歴代の政権は、常にその魅力にとりつかれてきました。
  1979年、連邦政府が設置したレンジャー開発調査委員会は、膨大な埋蔵量を持つレンジャー鉱山の開発にGOサインを出しました。
  委員会は、カカドゥでの開発に反対するトビー・ガンガーレらアボリジニーの土地権利者の願いをことごとく切り捨てたのです。

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イボンヌ:
  レンジャー鉱山が始まって、私たちの文化や伝統は、何もかもメチャメチャ。
  この上、ジャビルカ鉱山が始まったら、もっと酷いことになるよ。よくもこんな酷いことを。

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  ここが、鉱山開発が行われようとしているジャビルカです。この谷のあちこちに、アボリジニーの聖地が点在しています。
  そのうち幾つかは、イボンヌによれば、あまりに神聖であるがゆえに、開発のためにそれが危機に晒されていても、ヨソ者にその聖地の存在を明かすことも許されないほどです。

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  開発計画が認められれば、雨季には頻繁に大洪水が起こることで悪評高いこの平原の地下で、ウランの採掘がおこなわれることになります。
  ジャビルカのすぐ隣は、毎年30万人の観光客が訪れる広大な湿原です。

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  鉱山会社であるERA社は、ジャビルカ鉱山から操業中のレンジャー鉱山までこの谷を貫く22キロもの道路を建設する予定です。
  採掘されたウランはすべてレンジャーに運ばれて製錬され、イエローケーキ、つまり酸化ウランに加工されて輸出されるのです。

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Land rights, not mining rights! Land rights, not mining rights!
ウラン採掘権ではなく土地権を!

ウラン――地上でもっとも危険な鉱物。

  ウラン輸出でもっと外貨を稼ごうとする政府の利権と、文化を守ろうとするミラルの人々との対立が生み出したこの闘いは、アボリジニーの伝統文化のみならず、オーストラリア中を巻き込む大問題となってきました。
  というのも、オーストラリアにはウラン採掘候補地が26ヶ所もあり、その中でジャビルカが、ハワード政権がGOサインを出す最初のケースとなったからです。

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ERA社総支配人 フィリップ・シャービントン:
  私たちは何も、もとから自然にあった放射能に加えて、さらに放射能を増やそうとしているんじゃないんですよ。私たちがやっているのは、ただウラン鉱石を掘り出して、砕いて、ウランを抽出して、残土やテーリングを採掘孔に埋め戻すんです。
  そして採掘が終わったら、廃棄物を乾かして、岩や表土などで覆って、そ
の上に植林して、元に戻すということなんですよ。ですから、基本的に元どおりの環境に戻るんです。
  ウラン以外は土も岩も、元の地面にに帰って行くというわけです。
  何百年、何千年もの間つつまれていたところ、そうですね、地質学的繭とでも言いましょうかね? ウランの鉱脈は何万年も前からそこにあったわけですから、操業によって何かが前より悪くなるなんてことは、ある筈がないのです。

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ジャッキー:
  ウランは他の鉱物と同様に考えることはできません。他の鉱物よりはるかに危険で、取り扱いにも細心の注意が必要です。そして、採掘や製錬などの結果生じる有害廃棄物は、どんな鉱物よりも長くその毒性が続くのです。
  私たちのコミュニティにとってだけでなく、世界中の人々にとってもとり返しがつかないほど危険であるというのは、ウランのそういう性質によるものです。

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