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「日本の原発輸出を考える」
3.1大阪シンポジウム


<感想>

上野哲史

  当日朝起きると雨が降っていた。あれだけ準備したのに、よりによって今日に降らんでもええやんか。天気によって参加者が激変するのは今までの経験で知ってるよ。ブルーな気持ちも少しは入りつつも、早めに行って準備せねばならない。暗い空をにらみながら開場の準備を終えたとき、やはり余り来ていないようだった。
 更にスライド上映のBGMを流すのを頼まれていたのが、ボリュームダイアルと回転スピードのダイアルを間違えてとちってしまう。なんか散々である。
 しかし本題の内容は「それどころじゃないっ」と必死に訴えるように、シビアだった!以下に発言者の要点を紹介しよう。
 高さんによると、政府は「原住民」の平和的な性格を利用し、廃棄物などを押しつけている。らんゆ島では廃棄物を「クスリ」と呼んでいた。国会では「原住」少数民族は数が少ないので、押しつけを許してしまった。
 諏訪さんからは、原発輸出に対する供与を禁じられているODAの代わりをどのように日本輸出入銀行がつとめているかということについて詳しい報告があった。ああ俺も郵便貯金使ってるよな。輸銀を監視し、彼らにどのように訴えていくかが大きな課題だという。
 インドネシアのエディさんの話。近年インドネシアでは他の島からジャワへの人口流入が激しく、政府に言わせると電力需要をまかなうために原発が必要だという。しかしNGOや市民団体は活発に反対運動しているし、世論調査でも反対が大勢を占めている。国内の原子力の専門家は少ないし、莫大な借金を返す金はないし、未採掘の石油や天然ガスは膨大にある。原発を建設する必然性が全く感じられない、とエディは訴えた。
 さて休憩の間も雨は降るしとちるしとウジウジしていた。しかし突然そんな気分がぶっとんだぁ!我が友人が来てくれたのだ!何人かに声をかけて、唯一彼女が来てくれた。更に彼女に言われて気づいたのだが、開始時に比べるとえらく人が増えている。多く見積もって百人はいるかなあ。一気に救われた気分だ!
 活発な質疑応答をもってシンポは終わったが、この後更に日本橋に出て街頭アピールをした。3社のボイコットを呼びかけるなら、電器屋街が妥当だろうということだ。まずは施信民さんが吠え、とーち作の素敵なビラを撒いた。捌けはとても悪かったが、気分は良かったので気にはならなかった。
 その後は参加者で宴会となったが、高さんが全員に挨拶がわりの一気飲みを求めていた。最初から最後までパワフルなおっさんであった。
こうして施信民さんやエディさん達と関係を持った。同じ場・時間を共有した。そういう知人・友人という関係の他に、我々は諏訪さんが話されたようなルートも持っている。端的に言えば、目の前の人間を侵略しようとしている。それは日常により隠蔽され捉えにくくはなっているものの、明らかに実在する関係性なのだ。日本に住んでいるという事実は、これをこれからも無視することを可能にするだろう。しかしそうして彼らと持った<より人間的な関係>を破棄し救いようのない断絶をうみだすか、あるいは日常から脱却し何者にも媒介されない知人・友人の関係を大きくしていくかは、我々の行動の選択如何である。今回のシンポはこの選択肢を我々の前に実在させるものだった!

(報告・上野哲史)

 


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