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原子力法案、まもなく成立

(ジャカルタ・ポスト1997.2.12)


  全国的な議論となっているインドネシア初の原子力法案が、2月26日に予定されている全体会議で承認される見通しであることが、昨日、開発統一党の議員によって明らかにされた。
  昨年1月より法案の審議に関わってきた開発統一党のムハマド・ブアン氏は、議会での法案承認が「原発事故に対する国民に不安を和らげることになればよいと思う」と述べた。

  「もちろん、この法律によってすべてのリスクが取り除かれるわけではない。しかしこの法律が正しく適用されていれば事故の可能性は最小に押さえられると確信している」
  法案の早期成立を目指す政府が昨年12月12日というデッドラインを課していたにもかかわらず、一部議員の反対によって続いていた膠着状態が、どのように打開されたのかについてはブアンは詳しく語らなかった。原子力発電所監督団体の設立を含めて、議員間で決定的に意見が食い違っていた問題に関して、どのように合意が図られたのかについても彼は説明を避けた。しかしブアンは、プラントの安全性に関していくつかの新しい条項が追加されたと語った。これらの条項は、重要案件であった放射性廃棄物輸送の問題と人的資源の問題に関するものであったという。

  この法律が発効したすると、原発を建設しようという計画はすべて、4段階の監督とコントロールの段階を経なければならない。もしある政府関係機関が原発を建設しようとする場合、その計画はまず、今後政府が設立する原子力監督機関による綿密な審査にかけられることになる。
  一般の人々も、独立した諮問機関を通して、この監督機関の動きをコントロールすることができる。この諮問機関とは「原子力監督委員会」とよばれ、専門家や地域のリーダーなどから構成される。
  「この委員会は、国家人権委員会と似た形で機能することになろう。大統領の公布があれば組織づくりに取り掛かる」とブアンは語る。

  次に、原発建設計画はすべて、国会の承認を得なければならないことがうたわれている。
  ブアンは、この法案が原発の安全性を第一に考慮して作られたものだと強調する。「安全性の問題こそ、政治・経済のいかなる問題よりも優先されなければならないものです」
  さらに議会は、政府が放射性廃棄物の「持続可能な貯蔵」に関して議論する際には、そこに加わるべきことも明記されている。

  最後にこの法案は、原発に関してなされるすべての決定は、インドネシアもすでに批准している国際条約に準拠した形で行われるべきことも確認したとブアンは語った。
  外国からの放射性廃棄物持ち込みを、この法案は禁止している。「この事ははっきりさせておかなければならない。でなければ、いつそのような事態が起こらないとも限らないから」

反応
  これに対して環境NGO・インドネシア環境フォーラム(WALHI)は、議会が法案承認を断念するように要請した。 WALHIのアンジェラは、法案の審議に関してはまず一般からの意見を聞かなければならないといっている。「当初から国民がこの議論からまったく排除されてきた。特に予定地付近の住民は全く無視されている」
  政府はすでにムリヤ半島で原発建設のための立地可能性調査を終えている。 WALHIはこの法案が時代遅れであり、原発建設を法的に正当化するだけのために書かれた欺瞞的なものだとして非難している。
  先月25日には、25の環境団体が同様のアピールを議会に対して行っている。


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