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憂慮声明

 

1999年11月20日
吉岡光義 久美浜町長 殿

  私たちAEPS(持続可能性のためのオルタナティブ・エネルギー・プロジェクト、本部・バンコク)は日本の環境団体より、原発建設予定地である久美浜町の「電力視察団」が2000年2月にタイ北部のチェンライで少数民族の村々を訪問する計画であるとの情報を入手しました。

  また、私たちはこの5日間の旅が、いわゆる「少数民族」の村での電気のない暮らしを日本人参加者に体験させるためのものであることも知っています。日本人参加者は、未電化の村での暮らしを体験することで、電気が近代的な生活のためにどれほど大切であるか、原発を建設することがどれだけ必要であるかに気づくというわけです。

  私たちは、日本の人々が少数民族の人々の村を訪問しようとしているこのツアーに、深い憂慮の念を表明します。
  上記のような目的を掲げたこのツアーは、タイの少数民族を見下し、私物化するものです。タイの少数民族は、日本人旅行者がまるでなにか「時代遅れ」の珍しいもののようにして訪問するような、辺境の地で未開の生活を営む野蛮人ではありません。彼らの民族としての暮らしのあり方は、日本人観光客や日本の原子力産業が原発建設の理由とするために「未開な」ものとして見物されるために存在するのではありません。このようなことは、当該のコミュニティに対してのみならず、タイの少数民族社会における個々人の歴史、アイデンティティ、文化や生き方に対する重篤な非礼と侮辱に満ちたものです。
  さらに、あなたがた日本の人々は、異なった文化、とりわけマイノリティの人々への寛容と尊重を是とする文化をもっているのではありませんか。このツアーは、それゆえ、他者とともにあろうとしている日本の人々への侵害であり、他文化を尊重するという日本人の伝統への侵害でもあります。
  タイ北部の少数民族の人々は、驚くような文化的、歴史的多様性を持っています。その多様性には、天然資源をいかに利用し、いかに管理するかについての知恵も含まれます。簡素であることは、後進性を意味するわけではありません。タイの少数民族コミュニティが電気を使うか使わないかは、彼らの置かれた社会的、文化的、生態的状況に完全に依拠しています。さらに重要なことは、それらの決断を下す権利は、彼らのそれぞれの状況に基づいているということです。

  日本人観光客は、少数民族のコミュニティに対して原発を必要とする未開の人々であるとの見方をするのではなく、自分たちとは異なった文化を、そして彼らが資源の利用について決定を行う権利に対して、学びと尊重の姿勢を持つべきなのです。

  私たちは以上の理由から、タイ、日本両国の文化と少数民族コミュニティに対する侮辱であるこのツアーを中止することを要求します。

ワチャリー・パオルントン
アイダ・アールンウォン
サンティ・チョクチャイチャムナンキット

持続可能性のためのオルタナティブ・エネルギー・プロジェクト
Alternative Energy Project for Sustainability

賛同団体
タイ北部地域女性発展基金(チェンマイ)
YMCAチェンライ
チェンライ環境保護ボランティア協会
チェンライ消費者保護協会
ランナ女性協会(チェンライ)
チェンライ環境学協会
持続可能な農業協会(チェンライ)
タイ山岳民族の教育と文化のための協会(チェンマイ)
アカ族の教育と文化のための協会(チェンライ)
生態的回復のためのプロジェクト(バンコク)
TERRA(バンコク)
タイ・ボランティア・サービス(バンコク)
CAREチェンマイ

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