「タイ国電力視察団」の中止を求める申し入れ書
「タイ国電力視察団」の中止を求める申し入れ書
久美浜町長 吉岡光義 殿
私たちは、久美浜町が企画している「タイ国電力視察団」計画に強い抗議の意を表明し、町長がこのような差別的で人道上の問題を含んだ計画を撤回されるようここに申し入れます。
この視察団は町長自らの発案と報じられています。電気や石油が「文化的な生活」のために重要であるとの認識のもとに、タイ山岳地帯の「乏しい電力事情」を視察するということは、訪問先の村に暮らす少数民族の人々の暮らしを「電力があることが文化的な生活のための必須条件」という一方的な尺度から「見物」することにほかならず、これはそこに暮らす人々と、彼らの文化や生き方に対する途方もない侮辱であると考えます。これは明らかな差別であり、このような人間の尊厳を傷つけるツアーを町が計画して国の原発立地のための金を使って実施するなど、絶対に容認できることではありません。
今回の「電力視察団」のようなたった1週間足らずの滞在で、一体何が分るというのでしょうか。未電化の小村に暮らす少数民族の人々をたずねて、生活を共にするわけでもなくホテルに滞在しながら彼らの暮らしを覗き見るような訪問の仕方は、現地の人々を踏みにじることにしかなりません。電気のありがたさを知りたいだけなら、わざわざチェンライまで行く必要などありません。
チェンマイやチェンライなどタイ北部の人々を中心に、すでにこの企画に対する抗議の声が広がりつつあることを重く受け止めてください。久美浜でやることが国際問題になどなるはずはないと考えておられるのかもしれませんが、この無礼な企画に対する抗議の声はすでに日本とタイの両国で広がりつつあります。私たちの声に真摯に耳を傾けてください。
今回の企画の根には、アジア蔑視があります。この「電力視察団」は、タイの人々、とりわけ当該の村の人々を深く侮辱するものです。
どうか、この企画がはらんでいるさまざまな問題点や非常識さを認識していただき、この視察旅行を中止する決断を下されるようここに強く申し入れます。