minititle.gif (1563 バイト)久美浜の電力視察問題 解説

久美浜の電力査察問題について

 

bill2.gif (5167 バイト)  まず、この視察団は吉岡町長みずからの発案であるとのことで、9月末に久美浜町の全戸に「タイ国電力視察団募集」のチラシがくばられたことから始まります。

  この募集ちらしから、視察団の目的として書かれている部分を抜粋してみます。

  私たちは今後、今以上に文化的な生活を求めることが予想される中で電気、石油、ガスなどのエネルギー消費量は飛躍的に増大するものと思われます。
  町では、国の補助金を得ながら町民の方々に発展途上国の電力事情についてご視察を頂き、安定して電力供給の必要性を身をもって体験していただくため、「タイ国電力視察」を企画させていただきました。
  この機会を通してエネルギーの重要性を十分認識するとともに、排出される二酸化炭素による温暖化現象など、地球環境問題に対しても学習を深めていただきたいと思います。

  実施日は来年の2月10日から15日までで、定員は20名、参加料は3万円と書かれています。定員20名だけど、申し込み多数の場合は町で選考します(!)と但し書きがついていて驚きます。

  ちらしが配布されてすぐに久美浜原発反対連絡会の方が役場に問い合わせて得た回答によると、申し込み多数の場合は町長判断でメンバーを決めるつもりであること、旅行の費用は資源エネルギー庁から出ることになっていること、旅の目的としては「タイには原発はない。電気のない小さな村々を見て、電気のありがたさを知る旅だ」と答えたそうです。

  10月30日の朝日新聞の記事によると、視察日には国の重要電源対策立地交付金約400万円を充て、不足分として一人3万円を徴収するとのこと。

  これに対して久美浜原発反対連絡会は「電気のない生活は不幸、と思いこむ貧困な発想だ。補助金のばらまきでもある」として批判。これに対して町長は、「自分は何度もタイに旅行していて、タイの文化が好きだ。失礼といわれるのは心外」などと答えています。

  この企画に対してタイ大使館は、「日本にも電気のないところはあるのになぜタイを選んだのか」と当惑しながら、「電気がないから少数民族が困っているとは限らない。彼らを見下すような視察でないことを祈っている」とコメント。

  このあとも新聞に何度も取り上げられたため、町長判断でのメンバー選考というのはいくらなんでも中止になり、役場で抽選が行われ、男女約半々で20名のメンバーが確定しています。(しかしそのうちの2名はすでに町長判断で推進側から選び出されていたそうです)聞くところによるとそのほとんどの方が時間にも資金的にも余裕がある定年を迎えられたあとの年齢の方々とのことで、ホームステイが「衛生上の理由」からホテル泊になってみんな大喜びをしておられるとのことです。参加者の方々を責めるつもりで書いているのではありませんが、ホテルに泊まって快適に過ごしながらほんの少し未電化の村を見に行くということになると、これはまさに覗き見以外のなにものでもなく、電力事情の視察などになるわけがありません。これでは双方にとって、百害あって一利なしです。

  11月18日には関西から複数の団体が抗議申し入れを行っています。これに対しても対応した助役が、「町長もこの企画がタイに対して失礼になるとは思っておらず、私も電気のない生活を文化的に低く見る意図はない」と発言。12月6日の話し合いにおいても、前のメールでも書いたように、町長も「どこが差別的なんかいな」と堂々としたもので、計画を撤回する意志は全くないと明言しました。

  久美浜の反対連絡会のみなさんも、もうこの「電力視察団」をなんとしても中止に追い込むということで一致しておられます。このような企画に国が補助金をどっさり出して、町が主催して町民を海外まで連れて行くなど、言語道断です。

 

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