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「原発輸出に郵便貯金・年金がどう使われるか?」

吉永瑞能


  11月15日に、ストップ原発輸出!日立・東芝・三菱重工国際ボイコット委員会の主催で、鷲見一夫さん(新潟大学法学部教授)に上記のタイトルで講演会していただいた。

−不良債権の山 郵便貯金・年金−

 私たちの郵便貯金・年金が財政投融資制度を通じてODA・円借款・輸銀融資につぎ込まれていることは知っていることではあったが、1980年代の債務危機以降、ノンプロジェクト融資という形で公的資金が投入され、都市銀行などの民間銀行が行っているプロジェクト融資の借り換えが行われているということだ、つまりインドネシアなどの債務返済に問題のある融資が返済不能になるリスクを民間銀行が逃れるために、財投資金が投入されているということで、その後の東南アジア諸国の金融不安、とりわけインドネシアの状況などは、鷲見さんのお話がより現実的になっているが、その場合、財投資金に欠損が生じ私たちの年金がパーになり、郵便貯金も税金で補填される(?)という形でまわりまわって国民負担が発生することになる。
 財政投融資について、主に国内の特殊法人の不良債権の存在については、やっとマスコミでもとりあげられるようになったが、ODAや輸銀についてはほとんど取り上げられていないので、衝撃的な内容であった。
 もちろん国内においても、動燃に注ぎ込まれた資金が回収できるとはとても思えないがそういう観点からはなかなか報道されていない。
しかしながら、現状は拓銀・山一の破綻事件を経て郵便貯金預入高が急増している、そして東京三菱銀行の預金高も急増している。東京三菱銀行は昨年(1997年)日本輸出入銀行・興銀とともに、日立の中国泰山原発(主契約者:カナダ原子力公社)へのタービン・発電機の輸出について中国国家開発銀行へ融資を行っている。これは言うまでもなく中国や周辺の市民を原発の危険にさらす犯罪行為に他ならない。
 私たちのお金をどうしたらよいのかという点について、各地域に市民の手でグリーンバンクを作る事を提唱された。

−1日も早く輸銀・OECFの解体を!−

 問題解決の方法として鷲見さんは輸銀・OECFの1日も早い解体を提唱された。
 そのためにも私たちは、輸銀融資の問題性を明らかにし、現在策謀されているであろう、トルコやインドネシアそして中国への原発輸出への信用供与を監視し、止めさせる運動を強めていかなければならない。
鷲見さんからは原発企業ボイコットキャンペーンをもっともっと市民に知らせなければいけないとのご指摘もいただいた。
 中国・三峡ダムの国際入札において、鷲見さんが輸銀融資に粘り強い抵抗されたこと、そしてその後も中国の政府系金融機関の日本での起債に反対し続けられたことをお聞きして、原発輸出については、三峡ダム以上の監視を行っていく必要があると感じた。

最後に鷲見さんの著書を紹介しておきます
「世界銀行」(有斐閣)・「ODA援助の現実」(岩波新書)・「三峡ダム」(築地書館)

あと、報告者が出資しているグリーンバンクを目指すものとして<未来バンク事業組合>の連絡先を記します。興味あるかたは資料請求してください。
東京都江戸川区東葛西1−5−1−502
TEL/FAX 03−5674−7022


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