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国境を越えた連帯、COP3にて
原発は温暖化を解決しない!!


11・30京都集会

 COP3開幕直前の11月30日、国際会議場近くの京都工芸繊維大学において、「止めよう!地球温暖化、許すな!原発」集会(実行委主催)を催しました。当日は、気候フォーラム主催のイベントや「国際NGOシンポジウム」も開かれていましたが、NNAF関西や地球救出アクション、若狭連帯行動ネットワークなどが呼びかけたこの集会には、各地から約120人が集まりました。
 「温暖化防止は原子力発電で」−これが世界の原子力産業のスローガンです。日本政府はCO2削減のため「原発20基増設」を打ち出しています。この集会では、「CO2の大幅削減」を要求。しかし、そのために原発を推進するのは反対であり、途上国への原発輸出にも反対と宣言しました。集会には、COP3に参加するため来日していた海外のNGOからも多くの参加があり、「原発が温暖化の防止に役立たない」ことをはっきりと示しました。
 集会では、日本国内の原発現地の状況とアジアの反原発運動について報告を受けました。
 日本国内の状況として、上関原発予定地の祝島漁協組合長、山戸貞夫さんから、これまで地元で推進派が掲げてきた『地域振興』という看板が、最近では『地球にやさしい原発』というキャンペーンに変わってきていると報告されました。
美浜の松下照幸さんからは、もんじゅ県民署名が21万人分集まったこと、3月町議選に立候補すること等報告がありました。また、福島と浜岡からもメッセージが寄せられました。
続いてアジアの反原発運動として、NNAFJ共同代表の宮嶋信夫さんから話があり、日本からの原発輸出が心配されている台湾やインドネシアから現況を、韓国とフィリピンのNGOからもそれぞれの国の状況について話してもらいました。
 宮嶋さんからは、地球温暖化は大量生産、大量消費、大量廃棄という社会のあり方の問題であり、社会構造を変えることが必要であると提起されました。
台湾からは環境保護連盟の徐光蓉さんが発言しました。塩寮での第4原発建設計画は、野党民進党が選挙に圧勝したことでとりあえず早期の着工はまぬがれたものの、まだまだ油断できない状況であることが話されました。
インドネシアからは、WALHIのアヌン・カリアディさんが、韓国からは環境運動連合(KFEM)のキム・ボンニョさんが発言しました。いずれもNNAFとしてこの間交流してきた仲間です。
 非核フィリピン連合のコラソン・ファブロスさんからは、フィリピン政府が、バタアン計画に代わる新たな原発建設を準備している、しかし第5回NNAF開催を期に、反対運動はネットワークの強化がはかられ、運動も盛り上がりつつあると報告されました。
また、一昨年、神戸の「環太平洋反原子力会議」に参加してくれたプルトニウム・フリーフューチャーのクレア・グリーンスフェルダーさんが発言。米中原子力協定が締結されたことで、今後米日共同で中国への原発輸出が本格化するだろうと報告されました。また、同じくプルトニウム・フリーフューチャーの小田まゆみさんが発言。アメリカではすでに分散型エネルギーの時代に入っていること。カリフォルニア州で始まっているDSM(デマンドサイドマネージメント、需要管理型経営)の取り組みについて報告されました。

  また、12月2日、京都市国際交流会館で開かれた国際市民会議「持続可能で平和的なエネルギーの未来」(主催 原子力資料情報室、地球の友ジャパン)でも、原発が大きな問題となりました。これにもアジア各国からNGOが参加し、さまざまな企業や政府がアジアに原発を輸出しようとしていることに強い懸念を示しました。インドネシアのジョニさんは、「最近、ジャワ島中央部の第一次原発プロジェクトの延期が報じられたが、私たちは延期ではなく、エネルギー開発部門から原発がなくなることを望んでいる」「気候変動の問題が政府にとって原発を建設する言い訳になっている。二酸化炭素削減義務を負う国との共同実施が原発プロジェクトに使われると環境保護主義者にとって悲劇的な状況になる」と発言しました。

12・5抗議行動

 世界の原子力産業は、このCOP3を、原発を宣伝する絶好の機会として国際会議場内外で精力的なキャンペーンを行いました。その一つが12月5日、国際会議場の隣にある宝ガ池プリンスホテルで行われた「国際原子力フォーラム」のシンポジウムです。国際原子力フォーラムは、COP3開催に合わせ、日本原子力産業会議、ウラン協会、欧州原子力産業会議(FORATOM)、米原子力エネルギー協会(NEI)の4つの団体により組織されたものです。各国の原子力関連団体がこうした形でシンポジウムを開催するのは初めてのことです。11月30日の集会では、このシンポジウムに対する抗議行動を提起し、「ひとりでも多くの人が自らの意志を具体的に示すことが必要」と訴えました。

 "朝8時"という早い時間にも関わらず、この日集まったのは総勢60人。呼びかけはしたものの、正直言ってこれだけ集まるとは思っていませんでした。原子力産業界は国際会議場内にブースを設置したりして盛んに宣伝を繰り広げ、「Nuclear=clean air」と書いたパンフレットまで作ってる。環境保全のために開催された場でどうして環境破壊の最たる原発が元気なんだ、とストレスたまりっぱなしだったので、この結果には感激しました。原発は温暖化を解決しない。むしろ大量浪費社会の象徴である原発は、温暖化を促進する。抗議行動を呼びかけた団体(ノーニュークス・アジア・フォーラム関西ほか)はもちろん、原子力資料情報室や原発いらん大阪労働者の会、さよなら原発・神戸ネットワークなどからも参加がありました。海外では、韓国環境運動連合とグリーン・コリア、台湾環境保護連盟、米国からはプルトニウム・フリーフューチャーが参加しました。他にもアオテアロア・ニュージーランドのマオリの人やドイツ、フランスなど欧州のNGOの人もいました。また、東京から自転車で京都まで来たという法政大学の学生や、その他どの団体にも属していないが、反原発の意志を表明したいと参加した一般市民もいました。また、この間ジャビルカ鉱山のことで連絡を取り合っている地球の友(FOE)・シドニー支部からも、この日の行動に対する連帯メッセージが寄せられました。

"No Nukes!"
"Stop Export Nuclear Reactor"
"No More Chernobyl!"・・・

 原子力産業に対する抗議のアクションは、国際会議場とプリンスホテルとの間の歩道上で取り組まれ、シンポジウムの参加者だけでなく、COP3の参加者に対してもシュプレヒコールが叫ばれ、脱原発に向けた各々の思いが訴えられました。
(マスコミは、海外も含め少なくとも10社以上が取材に訪れました。抗議行動の模様は国内ではNHKなど3局でこの日夕方放映、CNNを通じても、アメリカなど世界各国で放映されました)

この日の行動も含め、全体を通して感じるのは、年々着実にNGOのネットワークが強化されているということ、国境を越えた草の根の連帯の輪が広がっているということです。アジアフォーラムで培ってきた民衆・運動との連帯・絆がしっかりと息づいていることを実感し、素直に感動しました。

(NNAF関西 梅本浩一)

 


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