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台湾へ行ってきました
小村浩夫(静岡大学)
5月17日に台北で開かれた「新国際衝突−核子侵略」研討会 Synposium
on New Confrontation - Nuclear Invasion,主催:台湾環境保護連盟,台湾大学経済学系,台湾緑党−に出席してきました.
低レベル廃棄物を台湾から朝鮮民主主義人民共和国へ移送する問題が浮上したことに伴い,開かれたものです.同様の会議は今年4月24,25日にソウルでも開催され,私は双方に参加することができました.
今回の会議は,低レベル輸送問題に触発されて企画されたものではありますが,日本やアメリカ,欧州諸国などが狙うアジアへの原発輸出が大きな問題になることは当然です.特に台湾第4原発(台北県塩寮)新規立地の予算が立法院を通過し,台湾電力の行った入札で機種も改良型沸騰水炉(ABWR,135万KW2基)に決定しているのですから,塩寮現地はもとより,台湾の参加者の危機感,焦燥感はひしひしと感じられました.
朝鮮民主主義人民共和国に軽水炉を押しつける動きも加速されそうです.伝えられるところでは,朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)は7月中旬にも建設を開始,EUも正式に参入するとのことです.
この二つの動きは,台湾会議での焦点,低レベル輸送に密接に関連しています.台湾第4原発は東芝−日立連合による日本初の原発輸出になりそうですが,この大出力の炉2基が稼働すれば,台湾の放射性廃棄物処理が今以上に厳しくなるのは目に見えています.KEDOによる原発輸出は,韓国重工業−コンバスチオン・エンジニアリングによる韓国型APWR(135万KW,2基)の押しつけになりそうですが,これは朝鮮民主主義人民共和国で放射性廃棄物を直接,一挙に増やすことになります.つまり,日本や韓国は台湾の低レベル廃棄物輸出だけを責める立場にない,同罪なのです.
もちろん当面の台湾の輸送計画には反対しなければなりません.台湾内での反対運動には微妙なものがあります.韓国からの台湾政府,台湾電力非難がともすれば民族主義的な反発を引き起こすこと,従って民進党などの対応が揺れてしまうこと,一方韓国ではこの問題が朝鮮半島統一問題とからんで議論され,ともすれば政治的な議論になってしまう.このような意識をどう乗り越えて国際的な連帯行動がとれるかが問題です.台湾の講演者の一人が「放射性廃棄物の国外輸送は
injustice
である」と言い切ったように反原発運動のなかではすでに乗り越えられているのですが,韓国の運動体と完全に連帯して動くことには,やはり限界があるようです.
韓国の参加者は「低レベル廃棄物輸送に反対する理由は,朝鮮半島統一後の負担になるからだ.それが唯一の理由ではないが」と発言しました.本来の問題点以外にこういう視点がでてくるのは,分断国家(日本も責任がないとはいえないはずだが)である韓国の政治的状況からでしょう.韓国の運動体も原則を踏まえて動いてはいますが,KEDOによる原発押しつけに反対することはなかなかむずかしい面もあるようです.
韓国,台湾両方の会議ともグリーンピースの参加が目立ちました.彼らの報告はそれぞれがカバーする地域での反原発運動の報告から踏み出してはいません.彼らの活動がアジアにおける反原発運動にどうかかわってくるのかは,これからの課題です.